2012年10月18日

ノーバックのすゝめ

 先シーズン、ノーバックでずっと滑って感じたメリット、デメリットを書こうと思います。
ノーバックに興味はあるけどイマイチ何が良くて何が悪いのか分からないという人達に贈る超個人的ノーバックで1シーズン滑った感想。

NOBACK

 スノーボードのバインディングにはハイバックっていうバックサイドターンをするときに力を伝えやすいようにブーツのふくらはぎの部分を覆う様なパーツがそびえ立ってます。
 その昔、高いハイバックは存在せずローバックと呼ばれるアキレス腱あたりまでの高さしかない低いモノが主流でした。90年代パイプ全盛期にレジェンド、テリエ・ハーコンセンがパイプでバックサイドの壁をより力強く登れるようにと開発されたと言われるスカイバックが搭載されたBURTONのCUSTOMが発表されると、当時はジブよりもパイプ全盛であったこともあってバックサイドの壁でズレずに登れる素敵な発明ということでブレイクして高いハイバックがスノーボード界に一気に浸透してローバックは衰退。どこのブランドも高いハイバックを採用したバインディングを発表したのでありました。最近のロッカーボードからハイブリッドボードが流行りだした時のような感じです。

 当時ハイバックでフォワードリーンを全開に倒してバックサイドターンがキレキレになって上手くなったと勘違いして、最近ではロッカーボードに乗ってプレス簡単とか思っちゃったりしてスノーボードテクノロジーの進化の恩恵を体感しています。

 ハイバックが誕生して20年近く経ち、そんなハイバックを外して滑るライダー達がチラホラ現れるのでありました。しかもノーバックで滑ってるライダー達は自分の好きなスタイル。
 当然ハイバックを外したらバックサイドターンがしづらくなるのは分かります。けど、ハイバックを外したその姿、マイノリティー、何かカッコイイ。ビートルズを聴かないことで何か探そうとした真心ブラザーズの様に、ハイバックを外すことで何か発見があるんじゃないかと思い、先シーズンついにハイバックという支配からの卒業。

ハイバックを外してからの調整

 ここまで読んでノーバックにしてみようかと思った方々。普通にハイバックを外してもノーバックになりますがバインディングをチョットだけ調整する必要があります。

 大体のバインディングはハイバックを外すとハイバック分だけカカト側にセンタリングの位置が下がるので再調整が必要です。ちなみに今シーズンからリリースされてるSWITCHBACK BINDINGSとかNOW BINDINGSとかはノーバックに対応していてハイバックを外してもセンターが狂わずヒールカップのホールドも損なわれないイケてる造りになっています。

 他にもストラップのポジションと長さを調整しないとフィットしない場合があるので何度か滑って調整することをオススメします。

実際に滑ってみる

 自分の場合はシーズン初めからノーバックにしてたので違和感はそんなに滑りづらいという印象がなく思いのほか滑れるなーという感じでした。が、やっぱりバックサイドは曲がりづらくハイバックってすごい効いてるんだなとハイバックの有難味を感じる。特に硬いバーンを滑る時。思ったようにエッジが入らない。
 身体を倒せばオートマチックにハイバックがテコの原理でエッジに力を伝えてたのが意識してエッジを立てないと曲がらない。ノーバックだといつも以上につま先を上げる感じで滑らないと上手く力が伝わらないので初めはスネの筋肉痛がハンパなかった。上半身の動きも大切なんだと気づいたりもする。
 何度か滑ってるうちにノーバックの滑り方が自然とできてきて面白くなってくる。例えばパウダーを滑ってる時にバランスを崩してヒール側に体重が乗ってしまった時にハイバックがあるとハイバックの力で必要以上にヒールに乗ってしまいコケそうなときもノーバックだと必要以上のヒール荷重にならずアソビがあるのでリカバリできたり、ボックスでヒール荷重になった時もツルッと行かず耐えれたり、ヒール側の荷重の微調整がしやすく面の滑りがしやすい。

 だけどハイバックが無いと力を伝えづらいので、キッカーで高回転スピンをする人、固めのバーンでグイグイとカービングする人、硬い板に乗ってる人は自力でトーションを使おうと板を捻らそうとするにはハイバックがあった方がいいのでノーバックは向かないと思う。

 ノーバックにするとハイバックが無いぶんブーツの背中側への負担が高くなるのでブーツのヘタリも早くなる気がする。

最後に

 滑りがマンネリ化してたり、何か新しいことをしたいと思ってたらノーバックで滑ってみてほしい。初めは滑りづらくて辛いと思うかもしれないけど慣れてくると今まで以上に滑るのが面白くなる。。。はず! レッツ、ノーバック!